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墓じまいとは?費用と流れ、遺骨の行き先の決め方

墓じまいとは?費用と流れ、遺骨の行き先の決め方

親の墓を自分の代でどうするか。まだ決めきれない段階でも、工事の日程が決まっている段階でも、動く順番は同じだ。

墓じまいは墓石の撤去と遺骨の改葬という別々の手続きで、総額は事業者公表の目安で35〜150万円。最初の一手は親族への相談ではなく、その墓地を誰が経営しているかの確認になる。統計では寺の墓地は全体の約7%しかない。

この記事の目次
  1. 墓じまいとは、撤去と改葬という別々の手続きをまとめた呼び方
  2. 最初に確かめるのは、その墓地を誰が経営しているか
  3. 全体の流れは8段階。順番を入れ替えると止まる
  4. 改葬許可申請の実務。窓口も書式も自治体で違う
  5. 費用は4つに分けて見る。総額の幅が大きい理由
  6. 遺骨の行き先は、戻せるかどうかで並べて決める
  7. 寺の墓地だったとき、離檀料をどう扱うか
  8. 自治体の制度で戻ってくるお金がある
  9. しないまま置いた場合に起きること
  10. つまずくのは5か所に集中している
  11. 時期は、法要と石材店の繁忙で決まる

墓じまいとは、撤去と改葬という別々の手続きをまとめた呼び方

墓じまいは法律の用語ではない。動くのは、墓石と外柵を撤去して区画を更地に戻し使用権を返す手続きと、中の遺骨を移す手続きの2つで、後者が法律上の改葬にあたる。墓地、埋葬等に関する法律の第2条は改葬を、埋蔵や収蔵した焼骨を他の墳墓や施設へ移すことと定め、第5条は市町村長の許可を要するとしている(出典:e-Gov法令検索・墓地、埋葬等に関する法律、2026年7月30日確認)。

撤去と改葬で相手が変わる

撤去の相手は石材店と墓地管理者、改葬の相手は市町村役場だ。第14条により管理者は許可証を受理した後でなければ埋蔵や収蔵ができない。第4条は焼骨の埋蔵を墓地以外の区域で行ってはならないとしており、庭に埋める出口は使えない(骨壺のまま自宅に置く手元供養は埋蔵に当たらない)。区画に持つのは使用権で、返すときに更地へ戻す原状回復の義務が付く。

相談者相談者
お墓を撤去するだけで済むと思っていました
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
遺骨の行き先が決まっていないと役所の許可が出ないため、実務では行き先を決めるほうが先に来ます

最初に確かめるのは、その墓地を誰が経営しているか

厚生労働省の衛生行政報告例では、2024年度末の全国の墓地は876,042区域。経営主体は個人と集計されたものが721,647区域で約82%、宗教法人58,700区域で約7%、地方公共団体30,024区域で約3%、その他65,234区域で約7%、公益社団・財団法人437区域。納骨堂は13,853施設(出典:e-Stat・令和6年度衛生行政報告例 第4章生活衛生 第5表、2026年7月30日確認)。

寺でも役所でもない相手が最も多い

集落の共同墓地なら離檀料は出ない代わりに、返し先が自治会か地権者かを自分で確定させる作業が入る。手がかりは、管理料をどこへ払っているかの記録、墓地入口の表示、市町村への問い合わせの3つ。民間霊園は宗教法人などが経営名義で窓口は委託先の石材店や管理会社になるため、埋蔵証明を誰が発行するかは最初に聞いておく。

全体の流れは8段階。順番を入れ替えると止まる

  1. お墓の現況を数える。改葬許可は遺骨1体につき1枚必要で、骨壺の数がそのまま申請枚数になる(1日〜数日)
  2. 経営主体と管理者を確定する(数日〜2週間)
  3. 親族に伝えて合意を取る。費用を誰が出すかまで含める(2週間〜数か月)
  4. 遺骨の行き先を決めて受入証明を取る(2週間〜2か月)
  5. 墓地管理者に意思を伝え、埋蔵証明を受ける(1週間〜1か月)
  6. 市町村に改葬許可を申請する(即日〜2週間)
  7. 閉眼供養と遺骨の取り出し、墓石の撤去、区画の返還(工事1日〜数日)
  8. 新しい供養先に許可証を提出して納める(1日)

4番と5番と6番は入れ替えられない。武蔵野市は、新しい墓地が決まっていない場合は改葬手続きができないと書いている(出典:武蔵野市・改葬許可申請、2026年7月30日確認)。全体は書類が揃って1〜2か月、寺や親族の調整が入ると半年から1年かかることもある。

改葬許可申請の実務。窓口も書式も自治体で違う

役所の手続きは改葬許可の申請1種類で、火葬のときの埋火葬許可証とは別の書類だ。申請先は移転先ではなく、いま遺骨が納められている墓地や納骨堂がある市町村になる。福岡市は、自宅で保管している遺骨を墓地や納骨堂に納める場合は申請が不要という分岐も示している(出典:福岡市・改葬許可申請の手続きについて、2026年7月30日確認)。

書類は3点が軸になる

  • 改葬許可申請書。遺骨1体につき1枚。京都市のように3枚1セットの様式もある
  • 埋蔵証明。いまの墓地管理者が納まっている事実を証明する
  • 受入証明書。新しい供養先が発行する。使用許可証や契約書の原本で代えられる自治体もある

墓地使用者と申請者が違えば使用者の承諾書、使用者が亡くなっていれば相続人全員の承諾(武蔵野市の案内)、代理人が行くなら委任状が要る。

手数料と窓口

確認した3自治体では申請手数料は無料だった。船橋市は埋蔵証明書の発行に手数料がかかる可能性があると書き、京都市と大阪市北区も申請は無料としている(出典:船橋市京都市大阪市北区、いずれも2026年7月30日確認)。窓口は戸籍の担当(船橋市、武蔵野市、大阪市北区)と衛生の担当課(福岡市、京都市)に分かれるので、部署名を決め打ちせず用件から伝える。

費用は4つに分けて見る。総額の幅が大きい理由

事業者公表の目安はいいお墓で総額35〜150万円、一般墓を建て直す場合は上に振れる(出典:いいお墓・墓じまいはせがわ・お墓じまいとは、いずれも2026年7月30日確認)。

項目目安払う相手
墓石と外柵の撤去、整地1平方メートルあたり約10〜15万円石材店
閉眼供養のお布施約3〜10万円僧侶
離檀料0円〜20万円程度寺院
役所と証明書数百円〜1,000円程度市町村と墓地管理者
新しい供養先約5〜250万円供養先の管理者

金額を動かすのは区画の面積と供養先の形式だ。2平方メートルなら20〜30万円程度が出発点で、重機が入れない立地や外柵の量が乗る。

見積書で確認する5項目

  • 撤去範囲。墓石だけか、外柵、砂利、基礎コンクリート、植木まで含むか
  • 整地の仕上げが、管理者の求める返還時の状態と一致しているか
  • 撤去した石材の処分費が含まれているか
  • 遺骨の取り出しと洗浄、粉骨の扱い
  • 重機が使えない場合の人力作業や運搬の加算

供養先は幅が最も大きく、合祀なら数万円台から、一般墓を建てれば100万円を超える。項目別の内訳は撤去と供養の内訳ごとの総額にある。

撤去費だけでも先に幅を知っておく

見積もりを1社だけで取ると、その金額が高いのか安いのか判断材料がない。区画の面積と立地を伝えて複数社の金額を並べると、面積あたりの単価が見える。相場を知るだけの利用でも問題ない。

無料で墓じまいの費用を比べる

遺骨の行き先は、戻せるかどうかで並べて決める

  • 手元供養。行き先を保留したまま撤去を進められる唯一の形。庭に埋めるのは墓地埋葬法第4条で認められていない
  • 一般墓を建て直す。後でまた改葬できるが費用は最も重く、承継の問題も残る
  • 納骨堂。個別安置の期間内は取り出せる形式が多く、期間後は合祀に移る契約が一般的
  • 樹木葬。個別区画なら期間内は取り出せる場合がある
  • 永代供養墓の合祀。取り出せない。費用は最も軽い
  • 散骨。撒いた分は戻らない。一部を手元に残す組み合わせが多い

親族の反対が後から出るのは、たいていこの不可逆な選択に対してだ。遺骨を分けて一部を手元に残す案を先に机へ載せておくと話が壊れにくい(分骨は分けた先ごとに証明書類が要る)。契約差は永代供養の費用相場と合祀か個別かの選び方、海に撒く場合は散骨のやり方と費用で扱っている。

寺の墓地だったとき、離檀料をどう扱うか

墓地埋葬法と同法施行規則に離檀料の定めはない。規則が改葬に求めるのは、埋蔵や収蔵の事実を証する書面と、使用者以外が申請する場合の承諾書などで、寺への支払いは含まれない(出典:e-Gov法令検索・墓地、埋葬等に関する法律施行規則、2026年7月30日確認)。ただし供養へのお礼として渡す慣習は広く残り、事業者公表の目安は0円から20万円程度になる。

話す順番を変えると衝突が減る

撤去業者を決めてから伝えると事後承諾を求める形になり反発を招く。親族の合意を取った直後、行き先を探し始める段階で先に寺へ伝える。

寺は改葬の許可権者ではない

許可するのは法第5条により市町村長で、寺ではない。ただ埋蔵証明を書くのは管理者である寺なので、そこで止まると進まない。証明を渋られた場合、武蔵野市は自宅で保管していた遺骨について遺骨引渡証明書で代用できると案内している。高額を求められた場合は離檀料の相場と高額請求されたときの対処にまとめた。

自治体の制度で戻ってくるお金がある

全国一律の補助制度はない。あるのは自治体が経営する霊園の区画を返してもらうための助成で、対象はその霊園の使用者に限られる。以下は2026年7月30日時点の内容だ。

群馬県太田市の例

太田市は八王子山公園墓地の無縁墓地対策として、返還時の墓石撤去費用を助成している。助成額は、祭祀費用を除く墓石撤去に係る費用として支払った額の総額または20万円のいずれか低い方。対象は2019年4月1日以降に返還届を提出して撤去が完了した利用者で、管理料の滞納がないことが条件になる(出典:太田市・八王子山公園墓地、2026年7月30日確認)。

千葉県浦安市の例

浦安市の墓所返還者等支援事業は2本立てで、墓石撤去費等助成制度は原状回復に要した費用に上限150,000円。合祀室改葬等許可制度は、改葬先に合葬式墓地の合祀室を使う場合、遺骨1体につき35,000円の負担で改葬できる(出典:浦安市・墓所返還者等支援事業、2026年7月30日確認)。

発注前に、撤去費だけを分けた明細を出せるか石材店に確認しておく。探し方は墓じまいに補助金は出るかで自治体別に整理している。

しないまま置いた場合に起きること

放置すればいずれ行政が片付けるという理解は、統計と合っていない。2024年度の全国の改葬件数は176,105件で、うち無縁墳墓等の改葬は3,006件、全体の約1.7%にとどまる。2014年度と比べると改葬全体は83,574件から約2.1倍に増えたのに対し、無縁墳墓等は2,829件から3,006件でほぼ横ばいだ(出典:e-Stat・令和6年度衛生行政報告例 第4章生活衛生 第6表同 平成26年度、2026年7月30日確認)。

施行規則第3条は、無縁墳墓の改葬に、官報への掲載と、墓の見やすい場所に設置した立札への1年間の掲示、その期間に申し出がなかった旨の書面を求めている。1区画ごとに1年待つ手続きなので件数は伸びない。

その間に続くのは管理料の請求で、使用者名義に届き、亡くなっていれば承継者か相続人に回る。滞納があると太田市の例のように助成の対象から外れ、先送りしたぶん総額が上がる。家や土地を含めた順番は実家じまいの進め方で整理している。

つまずくのは5か所に集中している

  • 骨壺の数が想定と違う。申請枚数と供養先の費用が両方増える。開ける前に墓誌や過去帳、寺の記録で誰が入っているかを確認する
  • 墓地使用者の名義が故人のまま。承継の手続きか相続人全員の承諾が先に要る。承諾は口を出す人ではなく法律上の相続人から取る
  • 寺に事後で伝えてしまう。業者と日程を決めた後だと、話が金額の交渉から始まる
  • 許可証の扱いを間違える。改葬許可証は工事の日ではなく、新しい供養先へ納めるときに出す書類だ。遺骨1体につき1枚なので、複数体を別々の供養先に分けるなら、どの許可証をどこに出すかを分けておく

時期は、法要と石材店の繁忙で決まる

やってはいけない日という決まりはない。効くのは4つの条件だ。閉眼供養の立ち会いは法要や彼岸、お盆に合わせやすいが、お盆前と彼岸前は石材店の作業が集中して工事日が取りにくい。3つ目は年度で、自治体の助成は年度単位で予算と条件が組まれるため、年度をまたぐ工事は申請の年度を先に確認する。4つ目は天候で、積雪や凍結のある地域は冬に重機が入れない期間がある。

2024年度の都道府県別の改葬件数は北海道が14,628件で最多、東京都12,982件、大阪府10,376件、兵庫県9,431件、神奈川県9,331件と続く。人口規模が上位ではない長崎県6,656件、鹿児島県5,633件が福岡県の5,003件を上回る。

8段階を自分で回さずに任せる場合

順番を守って自分で進めるほかに、書類と工事の手配をまとめて代行に出す選択肢があります。遠方で役所や寺に何度も行けない場合は、この形のほうが早く終わります。

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実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

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