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空き家が売れないときの選択肢|買取と値下げの判断

空き家が売れないときの選択肢|買取と値下げの判断

売りに出しているのに反響がない状態は、値段だけの問題とは限りません。

止めているのが立地か建物か価格かは、問い合わせと内見の数で切り分けられます。価格が800万円以下の帯に入ると仲介手数料の上限と使える控除が変わり、買取に切り替える目安は、値下げの下限が土地だけの値段に届いたときです。

この記事の目次
  1. 売れない理由は、立地と建物と価格と書類のどこかで止まっている
  2. 問い合わせと内見の数で、どれが止めているかを見分ける
  3. 扱う会社の採算で止まっている場合がある。800万円以下は手数料の上限が違う
  4. 値下げは、上から削らずに下限から決める
  5. 500万円と800万円の線には、100万円控除が乗っている
  6. 買取に切り替える判断の目安
  7. 買取でも仲介でも、控除の要件は建物の側に付いている
  8. 更地にする判断と、引き取ってもらう出口の条件
  9. 判断を先に延ばしたときに増えるもの

売れない理由は、立地と建物と価格と書類のどこかで止まっている

値下げが効くのは値段の側が原因のときだけです。

止まっている場所症状の出方効く手
立地問い合わせがほとんど来ない。近隣も長く売れ残っている買取、隣地への打診、空き家バンク
建物内見までは来るが申込に進まない現況調査で状態を示す、更地の検討、リフォーム前提の買い手に届ける
価格問い合わせが来ない。近隣の成約より高い下限を決めてからの値下げ
書類話が進んでから止まる。会社が扱いを渋る接道と境界と名義の確定を先に済ませる

令和5年住宅・土地統計調査の確報集計では全国の空き家は900万2千戸、空き家率13.8%。賃貸用・売却用・二次的住宅を除く空き家は385万6千戸で、2018年から36万9千戸増えました(出典:総務省統計局/基本集計 結果・2026年7月30日確認)。

建物の側で線が引かれるのは昭和56年5月31日以前に建築された家かどうか。書類の側で重いのは接道で、敷地は建築基準法第42条の道路(原則として幅員4メートル以上)に間口2メートル以上で接する必要があります(同法第43条・出典:裾野市)。第43条第2項の認定または許可で除外される場合もあり、基準は自治体が公開しています(出典:府中市・同日確認)。令和6年4月1日から相続登記は義務で、施行前の相続でも未登記なら対象、正当な理由なく取得を知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料の適用対象です(出典:政府広報オンライン・同日確認/手順は実家を売る手順と相場の調べ方)。

問い合わせと内見の数で、どれが止めているかを見分ける

  • 問い合わせがゼロに近い:価格か、そもそも情報が出ていない(露出)の問題
  • 問い合わせは来るが内見に進まない:写真と条件の書き方で外されている
  • 内見は来るが申込がない:建物の状態か、想定していた買い手の層が違う

専任媒介契約と専属専任媒介契約では指定流通機構(レインズ)への登録が義務で、標準媒介契約約款では専任が契約締結の日の翌日から7日以内、専属専任が5日以内。業務の処理状況の報告は専任が2週間に1回以上、専属専任が1週間に1回以上とされています(出典:国土交通省 標準媒介契約約款・2026年7月30日確認)。登録証明書を受け取って内容を確認します。契約の有効期間は3か月以内です(出典:東日本不動産流通機構・同日確認)。

相談者相談者
半年出していますが、会社から連絡が来たのは最初の一度だけです。反響があるのかも分かりません。
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
報告の頻度は契約の種類で決まっています。届いていないなら、登録証明書と、これまでの問い合わせと内見の件数を出してもらうところから始めてください。

価格が原因かどうかは、複数社の数字を並べないと分からない

同じ物件でも会社によって出てくる金額は違います。相場を知るだけの利用でも問題ありません。仲介で出す値段と、買取で出る金額の両方を並べておくと、次の章で決める値下げの下限が引けます。

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扱う会社の採算で止まっている場合がある。800万円以下は手数料の上限が違う

反響がない理由に、扱う会社側の採算が混じることがあります。国土交通省は媒介報酬の見直しの資料で、空き家等の流通促進が課題である一方、宅建業者が空き家等を取り扱うにはビジネス上の課題があるとして上限を見直したと説明しています(出典:国土交通省 空き家等に係る媒介報酬規制の見直し・2026年7月30日確認)。

物件価格が800万円以下の宅地建物は「低廉な空家等」として、売買の媒介では原則の上限を超えて30万円の1.1倍(税込33万円)まで報酬を受領できます。根拠は昭和45年建設省告示第1552号を改正する令和6年国土交通省告示第949号で、令和6年6月21日公布、令和6年7月1日施行です(出典:高知県・同日確認)。使用の状態は問われず価格だけで判定されるため、空き家である必要はありません。原則の上限は税込5.5%、4.4%、3.3%の三段の合計で、300万円の物件なら税込15万円台に収まります。

この特例では、媒介契約の締結に際してあらかじめ報酬額を依頼者に説明し、合意することが通達に明記されました。売主にとっての意味は二つ。値下げして800万円以下の帯に入るときは手数料の上限も同時に動くので手取りで比べること、そして採算で断られていた物件を扱う会社が出てくる余地ができたことです。断られた記憶が令和6年6月以前なら、もう一度当たる価値があります。

値下げは、上から削らずに下限から決める

値下げで先に決めるのは下限です。材料は三つあります。

  1. 近隣の成約事例。レインズの成約データは会社から出してもらえます
  2. 買取の提示額。これが実質の底値になります
  3. 更地にしたときの土地としての値段から、解体にかかる金額を引いた額

2と3のうち高いほうが、仲介で下げていく先の底です。決めておくのは刻み幅ではなく区切りで、媒介契約の有効期間(3か月以内)に合わせると判断する回数が最初から決まります。更新のたびに、問い合わせと内見の数を見て、価格を動かすのか会社を変えるのか売り方を変えるのかを選びます。

建物に値段が付いていない物件では、買い手が住宅ローンを使えるかどうかを会社に確認します。

500万円と800万円の線には、100万円控除が乗っている

価格帯が下がると税の側で拾えるものが出てきます。低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の100万円特別控除です。都市計画区域内にある一定の低未利用土地等を500万円以下(市街化区域等の一定の区域内にある場合は800万円以下)で売り、売った年の1月1日で所有期間が5年を超え、売手と買手が特別な関係でなく、譲渡後にその土地が利用されることなどが要件で、上限は建物等の対価を含めて判定します(出典:国税庁 No.3226・2026年7月30日確認)。

適用期間は動いています。国税庁のページは令和2年7月1日から令和7年12月31日までの譲渡を対象と書いていますが、令和8年度税制改正で3年延長されました(出典:財務省 令和8年度税制改正の大綱)。自治体は延長後を令和8年1月1日から令和10年12月31日までと案内しています(出典:横浜市/久喜市・同日確認)。市区町村が発行する低未利用土地等確認書は申請から発行まで通常2週間程度かかります(久喜市)。空き家の3000万円特別控除とは重複できず、確定申告をしなければ適用されません。

買取に切り替える判断の目安

買取は不動産会社が自ら買主になる取引で、再販を前提に買うため仲介で決まる金額より下がります。下がり幅を公的に示した統計は見当たりません。各社の案内では仲介相場の6割から8割程度と書かれることが多いものの、根拠は各社の実務です(例:不動産会社のコラムでの説明・2026年7月30日確認)。

状況買取に向かう理由
媒介契約の区切りを2回超えても問い合わせが増えない価格ではなく立地か書類で止まっている可能性が高い
値下げの下限に届いた仲介で下げ続けても手取りが減るだけになる
残置物が残っていて、片づけの段取りが付かない買取では現況のまま引き取る条件を組める場合がある
遠方で内見の立ち会いや草木の管理に行けない売れるまでの期間そのものが費用になる
相続から3年を経過する日の属する年の12月31日が近い控除の期限に間に合う日程を先に確保できる
接道や境界に条件があり、住むために買う層が外れている買い手を探す仲介の前提が成り立ちにくい

契約で確認するのは、引き渡した後に見つかった不具合をどちらが負うのか、残置物と庭木の処理はどちらの費用か、代金がいつ入るのかの三つ。

仲介の査定と買取の金額を、同じ時期に並べる

値下げの下限は、買取でいくら出るかが決まらないと引けません。複数社に出して幅で見ます。査定を取ったからといって売る義務はなく、相場を知るだけの利用でも問題ありません。

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買取でも仲介でも、控除の要件は建物の側に付いている

空き家の3000万円特別控除で見られるのは家屋の条件と相続後の使い方です。

  • 家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたこと
  • 区分所有建物登記がされている建物でないこと
  • 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
  • 相続の時から譲渡の時まで、事業・貸付け・居住の用に供されていたことがないこと
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 譲渡の時において一定の耐震基準を満たすこと、または家屋の全部を取り壊して敷地等を売ること

期限は相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までで、かつ平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡。令和6年1月1日以後の譲渡で相続人の数が3人以上の場合、控除額は2000万円になります(出典:国税庁 No.3306・2026年7月30日確認)。

売れないあいだの選択と衝突するのが4番目です。空いているのがもったいないからと貸すと控除は外れます。駐車場として貸すのも貸付けです。要件ごとの必要書類は実家を売ったときの税金|3000万円控除で0円になる条件にまとめています。

更地にする判断と、引き取ってもらう出口の条件

更地にすると、税の前提が変わる

住宅用地には課税標準の特例があります。住宅1戸当たり200平方メートル以下の部分は固定資産税の課税標準額が価格の6分の1、超える部分は3分の1。都市計画税はそれぞれ3分の1と3分の2です(出典:大阪市・2026年7月30日確認)。更地にするとこの前提がなくなるため、売れるまでの期間が読めないなら上がった税額を何年払うかも並べます。

国に引き取ってもらう出口は、建物があると入れない

相続土地国庫帰属制度で引き取れない土地には、建物がある土地、担保権や使用収益権が設定されている土地、境界が明らかでない土地が挙げられています。審査手数料は土地一筆当たり1万4000円で、取り下げ・却下・不承認でも返還されません(出典:法務省・2026年7月30日確認)。承認後の負担金は1筆ごとに20万円が基本で、市街化区域や用途地域内の宅地、農用地区域内の農地、森林などは面積に応じて算定されます(出典:政府広報オンライン・同日確認)。農地が絡む場合は制度が別です(農地が売れない5つの理由)。

判断を先に延ばしたときに増えるもの

  • 固定資産税と都市計画税は毎年出ていく
  • 人が住まないあいだも建物は劣化し、内見に耐える状態から遠ざかる
  • 相続から3年を経過する日の属する年の12月31日と、令和9年12月31日という二つの期限が近づく

管理を止めると税の側も動きます。特定空家等が建っている住宅用地については、地方税法第349条の3の2の規定により住宅用地の課税標準の特例が解除されます(出典:長野市・2026年7月30日確認)。

実家じまいナビ編集部 実家じまいナビ編集部の実体験

値下げでは動かない物件がある、と分かるまでに数年かけた

編集部の運営者が持っているのは沖縄の傾斜地で、建物は建っていません。買取業者と金額を交渉した経験はなく、書けるのは値段の下に何があるかという話だけです。

当初は価格を下げれば誰かが手を挙げるはずだと考えていました。実際には、下げても検討する人が現れない帯がありました。傾斜と接道の弱さ、造成費が土地の値段を超えるという条件が動かないので、値段を触っても結論が変わらなかったということです。売却、寄付、国庫帰属と順に当たり、どれも成立せず、いまも保有しています。固定資産税は年に約7万円。

税額の計算は税務署と税理士、名義と分割は司法書士と弁護士、契約条項は宅地建物取引士と弁護士に渡す範囲です。

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