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農地転用は結局いくら?ケース別の総額早見表

農地転用は結局いくら?ケース別の総額早見表

農地転用の費用を調べても、3万円から数百万円まで並んでいて判断できない。理由ははっきりしている。手続きの費用と工事の費用が足し算されているからだ。

手続きだけなら、市街化区域の届出で4〜10万円、区域外の許可で6〜17万円が目安。工事費はこれとは別枠で、土地の状態でしか決まらない。

この記事の目次
  1. 農地転用の費用は「手続き」と「工事」に分けると見える
  2. 手続きの実費は1万円以内。金額を動かすのは専門家報酬
  3. ケース別・手続きまでの総額早見表
  4. 工事費に公表相場はない。国税庁の単価は下限の目安
  5. 見積書に載ってこない土地改良区の決済金
  6. 青地なら、費用より先に8〜12か月の時間が要る
  7. 相続した農地は、転用の前に名義の費用が乗る
  8. 費用は誰が払うのか
  9. 転用したあとに続く費用
  10. 見積もりを取る前に確認する4つ
  11. よくある質問

農地転用の費用は「手続き」と「工事」に分けると見える

農地転用にかかるお金は、性質の違う二つの塊でできている。農地法の手続き費用(専門家の報酬と書類の取得実費)と、土地を目的の用途で使える状態にする工事費だ。

費用の塊決まり方この記事での扱い
手続き費用(報酬+実費)手続きの種類でほぼ決まる全国統計の実数値で幅を出す
土地改良区の決済金地区ごとの規程で決まる公表単価の実例で桁を示す
工事費(造成・整地)土地の状態でしか決まらない見積もり必須。標準単価は下限の目安

市街化区域の中にある農地の転用は農業委員会への届出で足りる。区域の外にある農地は、都道府県知事または農林水産大臣が指定した市町村長の許可が要る(農林水産省「農地転用許可制度」/2026年7月31日確認)。

手続きの実費は1万円以内。金額を動かすのは専門家報酬

申請書に添える書類は法務局で取る。手数料は令和7年4月1日から改定されており、現在は次のとおりだ(法務省「登記手数料について」/2026年7月31日確認)。

書類書面請求オンライン請求・送付オンライン請求・窓口交付
登記事項証明書600円520円490円
地図等情報(公図など)500円470円440円

ここに住民票や印鑑証明、資力を示す残高証明が加わる。筆数が多くなければ実費の合計は数千円から1万円程度。

行政書士報酬は、手続きの種類で倍近く変わる

日本行政書士会連合会の報酬額統計調査、最新は令和7年度(2026年1月実施・9回目)。金額に消費税を含み、立替金は含まない(「令和7年度報酬額統計調査の結果」/2026年7月31日確認)。

手続き回答者数平均値最頻値最小値最大値
農地法4条届出17050,728円50,000円3,000円500,000円
農地法5条届出24554,226円50,000円3,000円500,000円
農地法4条許可申請27396,893円80,000円8,800円800,000円
農地法5条許可申請501120,186円100,000円5,000円1,618,720円
農地法3条許可申請49358,616円50,000円5,000円500,000円

同じ調査の金額分布では、5条許可申請は5万円以上15万円未満に71.2%、4条許可申請は4万円以上10万円未満に59.3%。届出側は4条届出が2万円以上6万円未満に75.3%、5条届出が3万円以上6万円未満に62.0%。

報酬の現実的な帯は、届出でおおむね3〜6万円、許可で5〜15万円。どこに落ちるかは農地の立地と書類の量で決まる。

ケース別・手続きまでの総額早見表

上の統計と実費を積み上げると、工事に入る前までの総額はこう見える。

ケース手続き報酬の目安実費工事前までの小計
市街化区域の農地を自分で使う(自宅・駐車場・資材置場)4条届出3〜6万円数千円〜1万円約4〜7万円
市街化区域の農地を売る・貸す5条届出3〜6万円数千円〜1万円約4〜7万円+移転登記
市街化区域外の農地を自分で使う4条許可4〜10万円数千円〜1万円約5〜11万円
市街化区域外の農地を売る・貸す5条許可5〜15万円数千円〜1万円約6〜16万円
農用地区域(青地)の農地農振除外+許可上の許可+除外申出分数千円〜1万円期間8〜12か月が先に効く

この表に測量費と造成費は入っていない。土地の一部だけを転用する場合は分筆が要り、土地家屋調査士の測量が加わる。1筆を全部転用して境界にも争いがなければ、測量なしで進むこともある。

転用後の地目変更登記は、許可書や届出受理通知が添付書類になるため重くない。土地家屋調査士事務所の公開料金表では4〜5万円台が多い。

用途ごとの詳しい積み上げは 農地転用の費用はいくら?坪数別の総額と誰が払うか に、駐車場にする場合の収支の見方は 農地を駐車場にするには?届出と収支の考え方 にまとめている。

転用後に何ができる土地なのか、先に当たりを付ける

手続き費用より先に効くのは、その土地が転用後にいくら生むかだ。複数社の活用プランを取り寄せて、駐車場・資材置場・売却のどれが成立しそうか比べておくと、行政書士に相談する時点で話が早い。

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工事費に公表相場はない。国税庁の単価は下限の目安

総額が数百万円に届くかどうかはここで決まる。工事費には報酬統計にあたる公的な相場表が無い。

国税庁が相続税の土地評価のために毎年公表する宅地造成費の金額表だ。令和7年分・東京都の平坦地の単価(国税庁「令和7年分 財産評価基準書 東京都 宅地造成費の金額表」/2026年7月31日確認)。

工事費目単位金額
整地費整地を要する面積1㎡当たり800円
伐採・抜根費伐採抜根を要する面積1㎡当たり1,100円
地盤改良費地盤改良を要する面積1㎡当たり2,100円
土盛費土盛り体積1㎥当たり7,800円
土止費擁壁の面積1㎡当たり83,600円

整地だけなら1㎡あたり800円だが、道路より低い土地で土盛りと擁壁が要ると擁壁は1㎡あたり83,600円。100倍の桁の項目が同じ現場に同居する。見積書が跳ねるときは、たいていこの土止費が入っている。

傾斜地は別表になっており、傾斜度3度超5度以下で1㎡あたり22,900円、10度超15度以下で42,600円、25度超30度以下で73,300円。傾斜が3度を超えた時点で、平坦地の整地費とは別の世界に入る。

この金額表は相続税評価で控除する標準額であり、実際の見積書ではない。地域差もある。

田は水を張っていた土地なので、畑より地盤改良が乗りやすい。埋め立ての順番と地盤は田んぼの埋め立て費用の相場と、地盤で失敗しない順番で扱っている。

見積書に載ってこない土地改良区の決済金

対象の農地が土地改良区の受益地なら、農業委員会への申請とは別に、地区除外の手続きと決済金の支払いが発生する。

決済金は土地改良法に基づくもので、単価は各土地改良区の規程で決まる。

公表元決済金の単価330㎡(約100坪)換算
安城市(国営矢作地区・一部)農家住宅等150円/㎡、その他転用190円/㎡(令和8年4月1日改定)約49,500〜62,700円
同上・令和8年3月31日受付分まで一律10円/㎡(国営矢作地区50円/㎡)約3,300〜16,500円
吉野ヶ里町10アールあたり155,000円(155円/㎡)約51,150円
寺谷用水土地改良区(静岡県磐田市)田350円/㎡(畑かん地区の畑は田の3分の1)+事務手数料1,000円約115,500円+1,000円

出典は安城市「農地転用等の通知書の提出」、吉野ヶ里町「転用決済金」、寺谷用水土地改良区「賦課金・決済金について」(いずれも2026年7月31日確認)。安城市は改定前後の差が15〜19倍ある。

農業委員会に相談した時点でこの土地は土地改良区の受益地かを聞き、該当するなら管轄の土地改良区に単価を直接確認する。

青地なら、費用より先に8〜12か月の時間が要る

農地は優良度で区分され、農用地区域内農地と甲種農地は原則として転用が許可されない。第1種農地も原則不許可で、例外に当たるかの判断になる。転用しやすいのは第3種農地(農林水産省「農地転用許可制度」/2026年7月31日確認)。

青地、つまり農用地区域の中にある農地を転用するには、先に農業振興地域整備計画から外す手続き(農振除外)が要る。

吉野ヶ里町は、農振除外の申請受付を毎年度9月と3月の年2回に限り、申請受付から許可までに8か月から12か月程度を要すると案内している(吉野ヶ里町「転用決済金」/2026年7月31日確認)。

相談者相談者
先に見積もりを取っておけばいいのでは
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
順番が逆になる。青地かどうかで、そもそも転用できるかと、いつできるかが変わる。市町村の農政担当窓口で農振除外の要否を確認するのが先になる。

相続した農地は、転用の前に名義の費用が乗る

親から引き継いだ農地を転用する場合、登記名義が被相続人のままだと手続きが前に進まない。相続登記は令和6年4月1日から義務になっており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しなければならない。正当な理由なく怠ると、10万円以下の範囲で裁判所が過料を決定する(法務省「相続登記の申請義務化について」/2026年7月31日確認)。

登録免許税と司法書士報酬がかかり、相続人が複数いれば遺産分割の合意も要る。

費用は誰が払うのか

農地法に負担者の定めはない。実務では次のように分かれる。

  • 4条(自分の農地を自分で転用する):所有者が負担する
  • 5条(売る・貸すのに伴って転用する):当事者間の取り決めで決まる

5条は、買主が転用を条件に買うのだから買主負担という慣行の地域もあれば、売主が転用まで済ませて引き渡す形もある。

契約前に、行政書士報酬・測量費・決済金・造成費のそれぞれを誰が持つかを書面に落とす。口頭で転用費用は買主でとだけ決めると、決済金が11万円出てきた段階で解釈が割れる。

転用したあとに続く費用

転用後に地目が変われば、固定資産税の評価も農地としての扱いから外れる。金額は自治体の資産税担当に確認する。

加えて、転用の許可や届出を受けたあとには、工事完了の報告を求められることがある。許可の内容と違う使い方をすれば、工事停止や原状回復を命じられる余地がある。駐車場にすると申請して資材置場にした、というような食い違いは避けたい。

見積もりを取る前に確認する4つ

金額を調べる前に次の4つを窓口で確認すると、見積もりの精度が変わる。

  1. 市街化区域の内か外か(市町村の都市計画担当)。届出か許可かが決まり、報酬が倍近く変わる
  2. 農地区分と青地かどうか(農業委員会・農政担当)。農振除外が要るなら年単位の話になる
  3. 土地改良区の受益地か(農業委員会で確認し、該当すれば当該土地改良区へ)。決済金の単価は地区ごとに違う
  4. 道路との高低差と樹木の有無(現地)。土盛りと擁壁が要るかで工事費の桁が変わる
実家じまいナビ編集部 実家じまいナビ編集部の実体験

順番を間違えると、費用は調べても意味がない

編集部が相続したのは沖縄の傾斜地で、農地ではない。売却・寄付・国庫帰属と一つずつ検証してどれも成立せず、いまも保有している。固定資産税は年約7万円。
最初にやったのは費用を調べることだった。だが効いたのは、その土地が何に該当するのかを窓口で確定させることだった。農地でも同じで、区域と農地区分が決まらないうちに集めた金額は、自分の土地の金額にならない。

転用後の使い道から逆算する

転用費用を払う価値があるかは、転用後にその土地が何に使えるかで決まる。複数社のプランを無料で取り寄せて、収支の当たりを付けてから手続きに進むほうが判断を間違えにくい。

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よくある質問

自分で申請すれば費用は抑えられるか

報酬分は抑えられる。市街化区域の届出であれば、書類の点数も比較的少ない。ただし許可申請は添付書類が多く、農業委員会の受付は月1回の締切制をとる自治体が多い。不備で1か月待つコストを、報酬と比べて判断することになる。

面積が2倍になれば費用も2倍になるか

報酬は面積に比例しない。比例するのは決済金と工事費だ。決済金は単価×面積、造成費も面積や体積で積む。100坪と300坪で差が出るのは、報酬ではなくこの二つになる。

許可が下りなかった場合、払った費用は戻るか

取得した書類の実費は戻らない。報酬の扱いは契約次第なので、着手金と成功報酬の区分を依頼前に確認しておく。青地や第1種農地のように原則不許可の区分に当たる土地は、着手前の見込みの説明をどこまでしてもらえるかが事務所選びの分かれ目になる。

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実家じまいナビ編集部

実家じまいナビ編集部 |沖縄に売れない土地を持つ当事者が運営

実家じまいナビ編集部です。運営者自身が沖縄に売れない土地を相続し、出口が見つからないまま維持している当事者です。役所と業者を回って分かった順番、実際にかかる費用、先に知っておけば防げたことを記録しています。法令の解釈が必要な部分は断定せず、調べ方と相談先を示す方針です。

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