実家の売却にかかる期間|査定から引き渡しまでの目安

実家がいつ売れるのか読めないまま、次の予定を決められずにいる人は少なくない。
結論から言うと、査定の依頼から引き渡しまでは5〜7ヶ月を見ておく。首都圏の中古戸建は登録から成約まで平均100.9日(2025年・レインズ)で、相続した実家にはここへ登記と片付けの期間が上乗せされる。
この記事の目次
実家の売却期間は、準備から引き渡しまで5〜7ヶ月が現実的な目安
査定を依頼してから代金を受け取るまでを通しで見ると、5〜7ヶ月が現実的な幅になる。内訳は三層で、売り出し前の準備に1〜2ヶ月、買い手が決まるまでの売却活動に3〜4ヶ月、売買契約から決済と引き渡しまでに1〜2ヶ月。
このうち売却活動の部分には、業界の実測値がある。レインズを運営する東日本不動産流通機構が公表している、物件の登録から成約報告までの平均日数は次のとおり。
| 種別(首都圏) | 2025年 | 2024年 |
|---|---|---|
| 中古戸建住宅 | 100.9日 | 97.3日 |
| 新築戸建住宅 | 103.4日 | 103.9日 |
| 土地(100〜200平方メートル) | 89.8日 | 89.4日 |
| 中古マンション | 82.5日 | 85.3日 |
マンションの82.5日を基準にすると短く見積もりすぎる。戸建てで100日前後、つまり3ヶ月強が売却活動の中心値になる。
ただしこの数字はレインズへの登録から成約報告までで、査定や媒介契約の前準備も、契約後の決済と引き渡しも含まない。首都圏の値なので買い手の母数が小さい地方や郊外では伸び、平均なので半分はこれより長くかかっている。(出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」/2026年7月31日確認)
工程別に見ると、どこで時間が消えているかが分かる
| 工程 | 期間の目安 | 止まりやすい点 |
|---|---|---|
| 名義の確認と相続登記 | 1〜3ヶ月 | 戸籍の収集、遺産分割の話し合い |
| 査定の依頼と不動産会社の比較 | 2週間〜1ヶ月 | 訪問査定の日程、遠方だと往復が必要 |
| 媒介契約と売り出し準備 | 数日〜2週間 | 写真、間取り、境界資料の用意 |
| 売却活動と内覧 | 2〜4ヶ月 | 価格設定、内覧の日程調整 |
| 購入申込から売買契約 | 1〜3週間 | 条件交渉、共有者の署名押印 |
| 契約から決済・引き渡し | 1〜2ヶ月 | 買主の住宅ローン本審査、残置物の撤去 |
| 確定申告 | 引き渡した翌年の申告期間 | 取得費が分かる資料の有無 |
買主が住宅ローンを使う場合は本審査と金銭消費貸借契約が入り、決済日はそこから逆算して決まる。売買契約と引き渡しは別日が一般的で、この間に売主側は残置物の撤去と、共有名義なら全員分の書類をそろえる。
売り出し価格の当たりを付けるところから
期間の長短は、売り出し価格が相場からどれだけ離れているかでほぼ決まる。複数社の査定額を並べて幅を掴んでおくと、あとで値下げを繰り返さずに済む。
無料で査定額を調べる相続した実家には、売り出す前の期間が上乗せされる
相続した実家は、売り出しラインに立つまでに時間がかかる。上乗せの正体はおおむね四つ。
- 相続登記:亡くなった人の名義のままでは売れない。戸籍謄本を出生までさかのぼるため、転籍が多いと収集だけで1ヶ月以上かかる
- 遺産分割の話し合い:誰が取得するか、売った代金をどう分けるかが決まらないと登記に進めない
- 共有者全員の合意:兄弟の共有で相続した場合、売買契約には共有者全員の意思表示が要る。1人でも連絡が付かないと止まる
- 家財の片付け:仏壇、写真、衣類が残ったままでは内覧に耐えない。量によっては数週間から数ヶ月
相続登記には期限もある。2024年(令和6年)4月1日から申請が義務化され、所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければならない。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になる。施行日より前に相続を知っていて未登記のものは2027年(令和9年)3月31日までが期限である。(出典:法務省「相続登記の申請義務化について」「相続登記の申請義務化に関するQ&A」/2026年7月31日確認)
3年でまとまらない場合に備えて相続人申告登記という簡易な申し出もあるが、義務を果たしたとみなすための手続きで、これだけでは売却できない。
実家全体の進め方は実家を売る手順と相場の調べ方|更地と現状の比較にまとめている。
制度側で日付が決まっているものから逆算する
税の特例には期限があり、そこを過ぎると同じ物件を同じ値段で売っても手取りが変わる。2026年7月31日時点の制度で整理する。
| 期限 | 内容 | 起点 |
|---|---|---|
| 10か月 | 相続税の申告と納付 | 被相続人が死亡したことを知った日の翌日 |
| 3年を経過する日の属する年の12月31日 | 相続した空き家の3,000万円特別控除 | 相続の開始があった日 |
| 相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日 | 取得費加算の特例 | 相続開始のあった日の翌日 |
| 2027年(令和9年)3月31日 | 義務化前に知っていた相続の登記申請 | 施行日 |
3,000万円特別控除は期限が二重になっている。相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることに加え、平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの譲渡であることが条件になる。対象の家屋は昭和56年5月31日以前の建築に限られ、令和6年1月1日以後の譲渡では、譲渡の時からその翌年2月15日までに耐震基準を満たすか家屋を取り壊せば適用の余地がある。同じく令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上いる場合の控除額は2,000万円になる。(出典:国税庁タックスアンサーNo.3306/2026年7月31日確認)
取得費加算の特例は、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの譲渡が要件になる。実質的には相続からおよそ3年10ヶ月が上限で、売却活動に半年かかることを踏まえると動き出しはその1年前が安全側になる。(出典:国税庁タックスアンサーNo.3267、No.4205/2026年7月31日確認)
所有期間による税率の違いもある。譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得となり、税率は所得税15パーセント、住民税5パーセント、これに所得税額の2.1パーセントの復興特別所得税が加わる。相続で取得した場合の所有期間は原則として被相続人が取得した日から数えるので、親が長く住んでいた実家なら相続直後に売っても長期の側に入ることが多い。(出典:国税庁タックスアンサーNo.3202、No.3208/2026年7月31日確認)
媒介契約の3ヶ月が、判断の単位になっている
媒介契約には3種類あり、専任媒介契約と専属専任媒介契約は有効期間が3ヶ月を超えられない。これより長い期間を定めても3ヶ月に短縮される(宅地建物取引業法第34条の2第3項)。更新は依頼者からの申し出が必要で、自動更新にはならない。
| 項目 | 専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 |
|---|---|---|---|
| 有効期間の上限 | 3ヶ月 | 3ヶ月 | 法律上の制限なし |
| レインズへの登録 | 契約から5日以内 | 契約から7日以内 | 義務なし |
| 業務状況の報告 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 定めなし |
| 自分で買主を見つける | できない | できる | できる |
(出典:公益社団法人全日本不動産協会「一般媒介契約について」、東日本不動産流通機構「媒介契約制度」/2026年7月31日確認)
売り出しから数週間で反応がないとき、まず確認するのはレインズに登録されているかどうかだ。専任と専属専任では登録証明書が交付されるので、受け取っていなければ請求する。記載されたIDとパスワードで、売主本人が登録内容と取引状況を確認できる。
実家の売却が長引くときに、実際に起きていること
期間が伸びる理由は、たいてい次のどれかに当たる。
- 売り出し価格が相場から離れている:問い合わせがゼロに近い状態が続くなら、価格が市場と噛み合っていない
- 境界が確定していない:測量と立ち会いに数ヶ月かかることがあり、買主のローン審査にも影響する
- 残置物が残っている:家財が置かれたままの内覧は、広さも状態も伝わらない
- 再建築や接道の制約がある:接道条件を満たさない土地は、買主が住宅ローンを組みにくく、買い手の母数がそもそも小さい
- 内覧の日程が合わない:遠方だと土日しか対応できず機会を逃す。鍵の預け方を先に決めておく
- 売り出した時期が閑散期:転居需要は年度替わりに集中する。動きの薄い時期に出すと、同じ物件でも反応が鈍い
原因の切り分けは実家が売れない理由と、値下げ以外に打てる手で扱っている。
期間を縮める手段と、その代わりに失うもの
期間は短くできる。ただしどの手段にも代償があり、無料で速くなるものはない。
- 買取に切り替える:不動産会社が直接買い取るため、買主を探す期間とローン審査がなくなる。数週間から1〜2ヶ月で現金化できる一方、価格は市場価格の6〜7割程度と説明されることが多い。相続登記が済んでいなければ、そこから始まる
- 買取保証を付けて売り出す:一定期間は通常の売却活動を行い、売れなければ約束した価格で買い取ってもらう。期限がある場合の保険になるが、取り扱う会社が限られる
- 売り出し価格を先に調整する:3ヶ月無反応のあとに下げるより、最初から相場に寄せたほうが結果的に早く、値崩れも小さい
- 繁忙期に合わせる:年度替わり前に売り出せるよう、その数ヶ月前から査定と会社選びを進める
- 更地にして売る:買主が建築計画を立てやすくなる反面、解体は見積もりから完了まで1〜2ヶ月かかり、費用も先に出ていく。建物を壊すと土地の固定資産税の扱いが変わるので、市区町村の資産税課に確認してから決める
1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の時点で何を見直すか
時点ごとに見るものを決めておく。
| 時点 | 見るもの | 反応が薄いときの手 |
|---|---|---|
| 売り出しから2週間 | レインズ登録の有無、ポータルサイトの掲載内容、写真の枚数 | 登録証明書を確認、写真の撮り直しを依頼 |
| 1ヶ月 | 問い合わせ件数と内覧件数 | 問い合わせがゼロなら価格か情報の見せ方の問題 |
| 3ヶ月(媒介契約の満了) | 内覧はあるが決まらないのか、そもそも来ないのか | 来ない場合は価格、決まらない場合は状態や条件。会社を変えるか継続かを決める |
| 6ヶ月 | 掲載期間の長期化、周辺の競合物件の動き | いったん掲載を止めて繁忙期に出し直す、買取を比較する |
| 9ヶ月以上 | 維持費の累計と特例の残り期間 | 売却以外の出口も含めて条件を組み直す |
3ヶ月の時点で迷うなら、それまでの業務報告を読み返す。専任媒介なら2週間に1回以上、専属専任なら1週間に1回以上の報告が義務づけられている。届いていない、または内容が毎回同じなら、活動そのものが動いていない可能性がある。
価格を見直す前に自分でも相場を掴んでおくと判断が速い。手順は実家の査定を受ける前に|相場を自分で調べる手順に整理した。
売れるまでの間も、費用は出続ける
売れるまでの毎月、次の支出が続く。
- 固定資産税と都市計画税(毎年課税される)
- 火災保険料(空き家は契約内容が変わることがある)
- 電気と水道の基本料金(内覧のために止められない)
- 草刈りや通風のための往復交通費、または管理の委託費
半年が7ヶ月に延びる程度なら差は小さい。効いてくるのは、売れないまま年をまたぐときである。
