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墓じまいをしないとどうなる?無縁墓になるまでの流れ

墓じまいをしないとどうなる?無縁墓になるまでの流れ

継ぐ人がいない墓を、このまま置いたらどうなるのか。

放置してもすぐ撤去はされない。2024年度の改葬176,105件のうち無縁墳墓等の改葬は3,006件で、全体の約1.7%にとどまる。実際に届き続けるのは管理料の請求で、公営霊園の多くは5年の滞納で使用許可の取消対象になる。

この記事の目次
  1. 撤去まで進むのは全体の1.7%。統計に出ている結果
  2. 撤去が進まないのは、手続きそのものが重いから
  3. 何年で無縁と判断されるかは、自治体ごとに違う
  4. 実際に続くのは管理料の請求。年額と、滞納の扱い
  5. 撤去費用は誰が負担するのか。取消しと無縁改葬で分かれる
  6. 墓地の種類で答えが変わる。数のうえで最も多いのは寺でも役所でもない
  7. 継ぐ人は、遺産分割とは別の枠で決まる
  8. 決めないまま置くと、次の代に何が渡るか
  9. 墓じまいをしない、を選べる条件

撤去まで進むのは全体の1.7%。統計に出ている結果

この1.7%という数字の出どころを確かめておく。2024年度の改葬は全国で176,105件、そのうち無縁墳墓等の改葬は3,006件だった(出典:政府統計の総合窓口 e-Stat・令和6年度衛生行政報告例 第4章生活衛生 第6表、2026年7月31日確認)。

都道府県で見ると偏りはさらに大きい

都道府県別に開くと、無縁墳墓等の改葬は愛知県が1,251件で全国3,006件の4割を超える。次いで埼玉県397件、東京都296件、北海道239件。反対に1件も報告されていない県が10ある(岩手、山形、千葉、山梨、長野、滋賀、和歌山、鳥取、高知、長崎)。千葉県は改葬そのものは8,042件あった。

相談者相談者
放っておけば、いずれ役所が片づけてくれるのでは
実家じまいナビ編集部実家じまいナビ編集部
数のうえでは、片づけられずに荒れたまま残るほうが標準の結果です

撤去されない代わりに残るもの

同じ報告書は、厚生労働省の指針に添えられた標準契約約款で墓所の清掃や除草は使用者が責任を負う旨が示されていると引く(出典:総務省行政評価局・墓地行政に関する調査 結果報告書(令和5年9月)、2026年7月31日確認)。

撤去が進まないのは、手続きそのものが重いから

総務省行政評価局が2023年9月に公表した調査がある。対象は公営墓地または納骨堂を有する765市町村だ。

  • 無縁墳墓等が1区画以上ある(疑いを含む)とした市町村は58.2%にあたる445市町村
  • 2016年度から2020年度の5年間に、焼骨の移管や墓石撤去の着手にまで至ったのは6.1%にあたる47市町村
  • 今後、無縁改葬を進めていく意向があるとしたのは22.1%にあたる169市町村

出典は総務省行政評価局・墓地行政に関する調査 結果報告書(令和5年9月)、2026年7月31日確認。半分以上が無縁墓を抱える一方、5年で撤去に着手できたのは16市町村に1つの割合だ。

法令が求める公告に1年かかる

墓地、埋葬等に関する法律施行規則第3条は添付書類を定める。写真と位置図に加えて、縁故者などに1年以内に申し出るべき旨を官報に掲載し、かつ立札に1年間掲示して公告し、その期間中に申出がなかった旨を記載した書面が要る(出典:e-Gov法令検索・墓地、埋葬等に関する法律施行規則、2026年7月31日確認)。

1区画ごとに1年待つ設計なので、件数が急に伸びる構造にない。墓石の保管期間に法令の定めがないこと、撤去後に縁故者が現れて損害賠償を求められる懸念も報告書に並ぶ。

手続きを踏んだだけでは使用権は消えない

報告書は平成26年の高松高等裁判所の判決も抄録で引く。判決は、手続を実施したというだけで永代使用権を消滅させられるものではないとも述べている。

何年で無縁と判断されるかは、自治体ごとに違う

同じ報告書には、市町村が縁故者はいないと判断するときの目安が実例で載っている。

自治体縁故者がないと判断する主な目安
秋田県大仙市管理料の滞納が3年程度で、住民基本台帳や戸籍の公用請求でも縁故者が不明
兵庫県神戸市管理料の滞納が10年程度で、戸籍の公用請求等で調査しても発見されない
福島県白河市使用者の死亡から5年以内に承継の申出がない、または所在不明から10年
兵庫県尼崎市使用者の死亡から5年で承継の申出がない、または所在不明から10年
石川県小松市郵送調査で確認できず、白札を1年以上掲示し、墓参の形跡もない
奈良県御所市立札を設置して5年連絡がなく、墓参の形跡もない

報告書は、この目安に該当しただけで直ちに無縁墳墓等と判断されるものではないと注記している。3年で線を引く市も10年の市もある。

連絡が取れている限り、この経路には入らない

共通するのは連絡が取れないことだ。施行規則第3条の定義も、死亡者の縁故者がない墳墓または納骨堂を無縁墳墓等としている。管理料を払っていなくても、督促に返事をして所在が分かっていれば当たらない。撤去されるのを待つという出口は開かない。

実際に続くのは管理料の請求。年額と、滞納の扱い

公営霊園の管理料は条例と規則で決まっているので、額を自分で確かめられる。

  • 都立霊園:一般埋蔵施設が1平方メートルあたり年810円、芝生が年1,040円、壁型が1か所年3,350円、長期収蔵施設が年3,340円から5,570円(2026年4月1日改定)
  • 横浜市営:三ツ沢墓地、日野公園墓地、久保山墓地が年5,000円、メモリアルグリーンが年8,370円、日野こもれび納骨堂が年9,900円
  • 神戸市立墓園:3平方メートル以下が年額3,900円、超える区画は1平方メートルあたり1,300円に面積を掛けた額

出典は都立霊園 管理料のお支払い、横浜市・年間管理料、神戸市・墓園の届出等、いずれも2026年7月31日確認。4平方メートルの一般埋蔵施設なら都立で年3,240円、30年で約9万7千円。維持を続ける側の負担は、撤去にかかる額より桁が小さい。

滞納が5年続くと使用許可の取消対象になる

東京都霊園条例は第21条で取消しの事由を並べ、第13条第1項の管理料を5年間納付しないときが入っている(出典:東京都例規集・東京都霊園条例、2026年7月31日確認)。横浜市も5年間納付されない場合は取消対象と案内している。神戸市立墓園条例は第11条で、所定の使用料を納付しないとき、住所不明となり5年を経過したときなどを事由に挙げる(出典:神戸市例規集・神戸市立墓園条例、2026年7月31日確認)。

都立霊園では、生活保護や中国残留邦人の支援給付を受けている人が申請すればその年度の管理料の減額を受けられる。申請は毎年度必要で、延滞金は2023年度から徴収されている。手元になければ管理者に写しを求める。

撤去費用は誰が負担するのか。取消しと無縁改葬で分かれる

取り消された場合、原状回復の義務が残る

東京都霊園条例は、使用しなくなったときは知事に届け出るとともに原状に回復しなければならないと定める(第16条)。神戸市立墓園条例も、取消しのときは指定日までに焼骨を収去し原状に回復しなければならないとする(第12条第1項)。

無縁改葬まで進んだ場合の実額と時間

総務省の報告書に載る東京都の手順には、焼骨の改葬と墓石の撤去の費用が、区画の面積や墓石の大きさ、埋蔵数によっておおむね40万円から200万円程度と記されている。管理料滞納の納付指導から縁故者調査の対象になるまで約5年以上、縁故者調査から改葬と撤去の終了までおおむね4年から5年程度ともある。着手から完了まで10年規模だ。

撤去後に費用の請求が成り立つかは契約と経緯で変わるので、請求書が届いた段階の話は弁護士に確認する。

遺骨と墓石はどこへ行くのか

東京都の手順では、焼骨は都立八柱霊園の無縁塚へ改葬し、墓石は原状回復工事の後に直ちに処分する。都立霊園の公式サイトも、5年以上滞納すると取消対象になり、最終的に東京都が墓所を更地にし遺骨は無縁塚に改葬されると案内している(出典:都立霊園公式サイト・よくあるご質問、2026年7月31日確認)。

墓地の種類で答えが変わる。数のうえで最も多いのは寺でも役所でもない

総務省の報告書は、令和3年度衛生行政報告例をもとに、全国の墓地と納骨堂のうち公営は3.5%、個人や集落等が経営するものが88.7%と書く。

種類別に、しなかった場合に起きること

  • 公営霊園:条例に取消しの要件があり、何年で何が起きるかを自分で読める。合葬式の墓地や納骨堂を持つ市町村は25.5%にあたる195市町村にとどまる
  • 民営霊園:使用規則と契約書が根拠。窓口は運営を任された管理会社や石材店であることが多い
  • 寺院墓地:檀家としての付き合いが絡む。取り決めは使用規則とこれまでの慣行の両方で決まる
  • 集落の共同墓地や個人墓地:請求も撤去の主体も曖昧なまま残りやすい。区画を返す相手を自分で確定させる作業が先に来る

全体の順番は墓じまいとはで整理している。

継ぐ人は、遺産分割とは別の枠で決まる

民法第897条は、系譜、祭具及び墳墓の所有権は慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継すると定める。被相続人の指定があればその者、慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定める。第896条は相続人が一切の権利義務を承継すると定めており、897条はそこから墳墓を外している(出典:e-Gov法令検索・民法、2026年7月31日確認)。

相続放棄をしても、この枠は動かない

民法第939条は、相続の放棄をした者はその相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなすと定める。放棄が効くのは相続財産で、897条の対象はその外にある。

管理料を誰が納めるかは897条になく、決めているのは使用規則や契約のほうだ。神戸市は返還時に使用者がすることとして、年間使用料の完納、遺骨の改葬、墓石を撤去して更地に戻すことを挙げる(出典:神戸市・神戸市立墓園のよくある質問、2026年7月31日確認)。誰が祭祀を主宰すべき者に当たるかは慣習の認定を含む判断になるので、親族間で割れているなら弁護士に相談する。

決めないまま置くと、次の代に何が渡るか

実地調査の対象88市町村のうち、縁故者の住所や電話番号を把握していたのは10.2%にあたる9市町村。使用者情報を網羅的に調べたことがある市町村も31.9%にあたる244市町村にとどまる。

総務省の集計では、管理料を徴収している432市町村の55.1%で過年度分の滞納が発生し、滞納総額は令和2年度末時点で4億4,798万1,283円。滞納がある216市町村での平均は146万2,874円だった。

使用者を戸籍から辿り直す作業、届出の窓口を探す作業、どこへ移すかを決める場面がそのまま下の代に移る。名義と連絡先を直しておくだけでも、渡る作業の量は変わる。

墓じまいをしない、を選べる条件

  1. 次に引き受ける人が決まっている。民法897条に親族という限定はない。神戸市は親族以外の承継は申立書等が必要とし、生前に承継する手続きもあると案内している(神戸市・墓園の届出等)
  2. 管理料を払い続けられる。公営の実額は年3,000円台から1万円弱に収まる。民営や寺院なら使用規則で確認する
  3. 管理者に連絡先が届いている。使用者の名義と、使用者以外の連絡先の両方

3つそろっているなら、今すぐ撤去を決める理由はない。

撤去まで行かない中間の手

  • 承継の届出だけ先に出す。撤去の判断は先送りしても、請求と連絡の線はつながる。無縁の経路に入る条件からも外れる
  • 同じ霊園の合葬式施設へ移す。都立霊園には、墓所を返還して遺骨を合葬埋蔵施設に共同埋蔵する制度があり年3回募集している(都立霊園・よくあるご質問)。合葬式を持つ市町村は25.5%で、地元にあるかで決まる
  • 撤去と改葬まで進める。総額の幅が大きいので、複数の石材店から見積もりを取る段階から入る

今日できるのは、管理料の直近の納付年と使用許可証の名義を確認し、公営なら条例、民営や寺院なら使用規則の現物を読むところまでだ。祭祀を主宰すべき者の認定や請求に応じる義務の有無は弁護士に確認する範囲になる。寺や親族と揉めた場合の型は墓じまいのトラブル例に分けてある。

撤去まで進めるか迷っている段階でも、金額の幅は先に見ておく

撤去にかかる額は区画の面積と立地で変わります。1社だけの見積もりでは、その額が高いのか妥当なのかを判断できません。地域の石材店をまとめて比較して幅を先に把握しておくと、親族に話すときの材料になります。

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