庭木の伐採を自分でやる場合の道具と限界

庭木くらいなら自分で切れるはずだと考えるのは自然で、実際に切れる木もある。ただし線は思ったより低い位置にある。
業者が公表する目安は高さ3m・幹の直径20cm以下が多い一方、高さ2m・太さ10cmまでとする造園業者もある。低いほうの線を採用し、超えたら道具を買う前に見積もりを取るほうが結局は安く済む。
この記事の目次
自分で切れる木の線は、業者ごとにそろっていない
最初に決めるのは切り方ではなく、その木に手を出していいかどうか。請け負う側が公表する目安はそろっていない(いずれも2026年7月31日確認)。
| 出所 | 自分でやれる目安 |
|---|---|
| くらしのマーケット マガジン | 高さ3m以下・幹の直径20cm以下 |
| お庭の大将 | 高さ3m以下・幹の直径20cm以下 |
| シダエコ | 高さ3〜5m程度まで |
| 小澤木材店 | 高さ2m程度・太さ10cm程度 |
| 伐採110番 | 自分の身長程度・片手でつかめる太さ(直径10cm程度) |
2mから5mまで開くのは、安全な線が木の状態と周囲の条件で動くため。迷うなら低いほうの線に合わせる。
高さと太さより先に見る4つ
- 傾き:すでに傾いている木は、倒したい方向に倒せない
- 周囲:木の高さ分の空きがあるか。家屋、ブロック塀、カーポート、電線、道路、隣家の窓が射程に入るなら対象外
- 腐朽と空洞:枯れかけ、幹に空洞がある木は切っている途中で予測と違う裂け方をする
- 足場:脚立に乗らないと届かない時点で高所作業になる
枝が電線に触れている木は、伐採業者ではなくまず電力会社の窓口に連絡する案件になる。
住んでいない実家の庭木は、判断の基準がもう一段変わる
空き家の庭木は、放置そのものが行政の判断材料に入る。
国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」(2023年12月13日最終改正、2026年7月31日確認)は、管理不全空家等かどうかを判断する状態の例として立木を挙げている。
- 立木の伐採、補強等がなされておらず、腐朽が認められる状態
- 立木の大枝の剪定、補強がなされておらず、折れ又は腐朽が認められる状態
- 立木の枝の剪定等がなされておらず、枝等のはみ出しが認められる状態
市区町村長から勧告を受けた管理不全空家等の敷地は、固定資産税等の住宅用地特例の適用対象から除外される。手入れされていない庭木は、その勧告に至る判断材料として名指しされている。
必要な道具と、実際にかかる金額
道具は切るものと守るものに分かれる。守るほうを削ると、節約した金額の意味がなくなる。
切る道具
- 剪定バサミ:細い枝を落とす
- 剪定ノコギリ:直径10cm程度までなら人力で切れる
- チェーンソー:ホームセンターで1万円前後から。切れる幹の直径に上限があるので、ガイドバーの長さを先に確認する
倒す方向を作る道具
- ロープ:直径10mm以上。倒したい方向に張って引く
- くさび:追い口が閉じてノコギリが挟まるのを防ぐ
- 脚立:使わずに済む高さの木を選ぶのが本筋
守る道具
- 作業用手袋、保護メガネ、ヘルメット、安全靴、長袖長ズボン
- チェーンソーを使うなら下肢の切創防止用保護衣
ミツモアの記事(2026年7月31日確認)の試算では、チェーンソーを除く道具一式で8,000〜10,000円、加えると10,000〜30,000円。低木1本を業者に頼む金額と近い水準になる。1本だけなら自分でやっても金額はほとんど下がらない。意味が出るのは本数が多い場合か、道具をすでに持っている場合に限られる。
倒す手順は、切る前の段取りで決まる
手順は各社ほぼ共通している。以下は2026年7月31日確認のくらしのマーケット マガジンとお庭の大将の記載を整理したもの。
- 倒す方向と退避路を決める。木の高さ分の空間が取れる方向を選び、斜め後方へ逃げる道を先に空ける
- ロープを張る。幹の高い位置に掛け、倒したい方向へ引いて固定する
- 枝を払う。上から順に、左右のバランスを見ながら落とす
- 受け口を作る。倒したい方向側に、幹の直径の3分の1程度まで、30〜45度で切り込む
- 追い口を入れる。反対側から水平に切る。高さは受け口の3分の2程度
- 切り残しを残す。受け口と追い口の間を切り抜かず、蝶番の役目をする部分を残す
- 分割する。直径5〜10cm程度の木は肩の高さで一度切ってから根元を切る。根元は土から10cmほど残すと、あとで根を抜くときのてこになる
作業は2人以上で行う。倒れる範囲に人が入らないよう見張る役が要る。
厚生労働省の資料では、林業の労働災害による死亡者数は年間40人前後で推移し、その約6割がチェーンソーによる伐木作業時とされる。事業者が労働者にチェーンソーで伐木をさせる場合は労働安全衛生規則第36条第8号の特別教育が義務(2020年8月1日から科目が統合・拡充)。法定の教育を要する種類の作業である。
つまずくのは切る場面ではなく、切った後の処分
倒すところまでは半日で終わることがある。残るのは幹と枝と葉の山で、ここは実家の所在地の規則で決まる。2026年7月31日時点の各市の公表内容。
| 自治体 | 木の枝の出し方 |
|---|---|
| 横浜市 | 燃やすごみ。枝の長さは50cm未満、1回の目安は両手で抱えられる束が2〜3束程度 |
| 町田市 | 剪定枝は資源物として資源集積所へ。1束は直径30cm・長さ60cm以内、1本の太さは直径10cmまで |
| 藤沢市 | 枝は1.5m未満に切り、直径35cm未満に束ねる。木の根は太さ20cm未満に割る |
| 市川市 | 太さ10cm以下の枝を長さ50cm以下・直径30cm以下の束にして、1世帯3束まで |
見落としやすい2点
横浜市の粗大ごみFAQでは、造園業者に委託して剪定した場合は事業活動に伴うごみとなり粗大ごみとして出せず、事業系ごみとして処理するとされている。自分で切ったか業者が切ったかで出し先が変わる。
燃やす選択肢はない。廃棄物の処理及び清掃に関する法律第16条の2により野外焼却は一部の例外を除き禁止で、千葉市の案内では違反すると5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科されることがある。空き家では、切る日と収集日をどう合わせるかまで含めて判断することになる。
根っこは伐採とは別の作業になる
幹を切り倒しても切り株と根は残る。更地にする、駐車スペースにする、外構をやり直す目的があるなら抜根が要る。切り株を残した場合に業者各社が挙げているのは次の点。
- 樹種によっては切り株から芽が出て伸び直す
- 朽ちた木は湿気を含み、シロアリなどの害虫が集まる下地になる
- 解体工事や外構工事の際に、結局その段階で撤去費が乗る
くらしのマーケット マガジンが示す抜根費用の目安は、幹周30cm以下で1〜1.8万円、31〜50cmで2〜3.3万円、51〜80cmで3〜6万円、81cm以上で4〜9.5万円(2026年7月31日確認)。
切り株の扱いと費用は抜根の費用と、切り株を残すと起きることで個別に整理している。
隣家と道路にかかる枝は、法律の話になる
実家の庭木でよくあるのは、隣家側に枝が出ている、または隣家の木が実家側に出ている状態。この扱いは2023年4月1日施行の民法改正で変わった。
横浜市および福生市の説明(2026年7月31日確認)によれば、原則は民法第233条第1項のとおり、越境された土地の所有者が竹木の所有者にその枝を切除させる。そのうえで次のいずれかに当たるときは自ら切り取れる(同条第3項)。
- 竹木の所有者に切除するよう催告したが、相当の期間内に切除しないとき
- 竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき
- 急迫の事情があるとき
1の相当の期間について、福生市は枝が数本越境している程度なら基本的に2週間程度と説明している。根は同条第4項により催告なしに切り取れる。枝を切り取るのに必要な範囲であれば、目的・日時・場所・方法を通知したうえで隣地を使用できる(改正後の民法第209条)。実家の木が隣家へ伸びている側なら、切除する義務は木の所有者、つまり相続して名義が自分になっている側にある。
越境の程度や費用負担、共有名義の木の扱いは編集部が答えられる範囲を超える。横浜市も、切りすぎるとトラブルになる可能性があるとして弁護士や司法書士への相談を勧めている。
切る時期をずらせるなら冬側に寄せる
各社が伐採に向くとしているのは、気温が低く乾燥している冬から早春。
- 樹木の水分が少なく、切った幹や枝が軽い。運搬と処分の負担が下がる
- 落葉樹は葉が落ちているため、枝ぶりと重心が目で見て取れる
- 蜂やムカデなど、作業中に出会うと厄介な生き物が少ない
折れかけた大枝を年単位で放置するほうがリスクは高い。帰省の回数が限られているなら、時期の最適化より、行ける日に状態を記録して帰るほうが優先度は高い。
業者に出したときの金額と、どこで線を引くか
自分でやるかを金額で比べるには、頼んだ場合の水準を先に知る。以下は2026年7月31日確認の2社の公表値で、幅があるのは地域・作業条件・処分の有無で動くため。
| 木の高さ | くらしのマーケット マガジン | お庭の大将 |
|---|---|---|
| 3m未満 | 3,000〜9,000円 | 5,000〜20,000円 |
| 3〜5m | 8,000〜20,000円 | 15,000〜40,000円 |
| 5m以上 | 15,000〜30,000円 | 5〜7mで30,000〜80,000円 |
これは1本あたりで、処分費・抜根・整地は別建てになることが多い。見積書で確認するのは次の4つ。
- 伐採・処分・抜根・整地が分けて書かれているか
- 追加料金が発生する条件(重機が入れない、搬出距離が長い等)が明記されているか
- 近隣の養生と作業日の挨拶を誰がやるか
- 複数本ある場合、1本ごとの単価か一式か
倒す作業だけ任せ、枝の片づけと処分を自分で引き受けると総額が下がる場合がある。逆に遠方から通う交通費と滞在日数を足すと、処分まで任せたほうが安いこともある。
高さ別の相場は庭木の伐採費用の相場|高さと本数、抜根の有無で変わるにまとめている。
庭木が複数本あり、更地に近い状態まで戻したいなら
物置やブロック塀、庭石の撤去まで含むなら、解体・撤去の一式として見積もりを取ったほうが総額が読める。複数社の金額を並べてから、自分でやる範囲を決める。
無料で解体費用を比べる遠方から実家の庭木を片づけるときの順番
無駄が出にくい順番は次のとおり。
- 写真と実測を先に取る。高さは自分の身長、1階の窓、屋根の軒先を基準にすると目測でも精度が出る
- 目的を決める。売却前に見栄えを整えたいのか、更地にするのか、越境の苦情を止めたいのかで、伐採だけか抜根まで含むかが変わる
- 実家の自治体のごみルールを調べる。枝の長さ、束の直径、1回に出せる量。ここで自分で処分できる量の上限が決まる
- 2〜3社の見積もりを取る。写真があれば現地に行かなくても概算が出る場合がある
- 自分でやる範囲を切り分ける。低い木と細い枝だけ自分、幹と高い枝は業者
高さが線を超えている場合は、金額の問題ではなく、やる・やらないの問題になる。
1本だけ、あるいは作業ごとに頼みたいとき
庭木1本の伐採や、切った枝の運び出しだけなら、作業単位で料金が出ている事業者を比べると金額が読みやすい。作業内容と地域を指定して確認する。
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