実家の片付けを業者に頼む費用と、選ぶときの基準
実家の片付けを業者に頼むとき、総額がいくらになるのかが先に読めない。
各社の料金表では一軒分が12万〜60万円の幅で示され、そこに家電のリサイクル料金と清掃と車両費が別で乗る。金額より先に効くのは、家庭ごみを運べる許可を誰が持っているかで、これは実家のある市区町村の窓口で確かめられる。
この記事の目次
「実家の片付け業者」という1つの業種はない
| 作業 | 要る許可 | 許可を出すところ |
|---|---|---|
| 残す物と捨てる物の仕分け | 不要 | - |
| 家庭から出た廃棄物の収集と運搬 | 一般廃棄物収集運搬業の許可 | 市区町村 |
| 値の付く物の買取 | 古物商の許可 | 都道府県公安委員会 |
| 家財を運ぶ、引越しとして移す | 一般貨物自動車運送事業の許可 | 国土交通大臣(窓口は地方運輸局) |
| ハウスクリーニング | 不要 | - |
| 建物や外構の解体 | 解体工事業の登録または建設業の許可 | 都道府県 |
一般廃棄物の収集または運搬を業として行う者は、その区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならない(廃棄物処理法第7条第1項)。川崎市は、引越しと遺品整理で家庭から出る廃棄物の収集運搬にもこの許可が要るとしたうえで、無許可営業は5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(法人は3億円以下の罰金)またはその併科になると書いている(2020年7月1日更新、2026年7月31日確認)。
横浜市は、許可を持たない業者に頼む形になるなら、不用品を出す側と許可業者が直接契約する必要があると案内している(2024年9月27日更新)。神奈川県は、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では家庭の廃棄物を回収できないと明記している。買取の古物商許可は都道府県公安委員会、家財を運ぶ一般貨物自動車運送事業は国土交通大臣の許可で(貨物自動車運送事業法第3条)、監督する役所が3つに分かれている。
許可番号の照合手順は遺品整理の業者の選び方に分けてある。
見積もりより先に、実家のある市区町村の窓口を見る
多くの自治体に、引越しや家の片付けで一度に多量に出る家庭ごみを扱う制度がある。名称は一時多量ごみが多い。
| 自治体 | 申込みの形 | 書かれている条件 |
|---|---|---|
| 川崎市(2026年4月1日更新) | 許可業者を選ぶ→生活環境事業所に一時多量ごみ申込書を提出→分別したごみを許可業者に有料で引き渡す | 申込書は原則として搬入申込者本人が記入。市の許可には事業系一般廃棄物や産業廃棄物もあるので種類を確かめる |
| 名古屋市(2025年10月17日更新) | 一時多量ごみ等処理申込書を原則本人が記入し、許可業者に依頼 | 許可業者のリストは区のまとまりごとに4つ。収集運搬処分料金のほか、室内整理や搬出が伴う場合は別途業者の指定する料金 |
| 札幌市(2018年10月5日更新) | 市の許可する業者に依頼 | 400リットル(40リットルの袋で10袋)を超える量が対象。依頼先は一般財団法人札幌市環境事業公社の1社に限られる |
| 横浜市 | 許可業者に直接、または横浜市一般廃棄物許可業協同組合に問い合わせて案内を受ける | 料金と処理できる物の種類は業者ごとに違う |
| 八女市 | 本人が処理施設へ直接搬入、または市が許可証を交付している業者に依頼 | 直接搬入は10キロあたり150円(可燃ごみ)、10キロあたり200円(不燃ごみ) |
いずれも2026年7月31日確認。どの形かは、ごみを担当する部署への電話1本で分かる。名古屋市は市の許可のない回収業者を利用しないよう求め、八女市は、リサイクルするから一般廃棄物の許可は要らないと宣伝して回収する業者がいると書いている。
費用は幅で見る。間取り別の料金表が答えていない5つ
| 間取り | 公表されている料金の幅 |
|---|---|
| 1R・1K | 3万〜8万円 |
| 1LDK | 7万〜20万円 |
| 2DK | 9万〜25万円 |
| 2LDK | 12万〜30万円 |
| 3DK | 15万〜40万円 |
| 3LDK | 17万〜50万円 |
| 4LDK以上 | 22万〜60万円 |
出所は片付け業者の検索サイトの目安(2026年2月9日更新、2026年7月31日確認)。同じサイトの事例は、3K・2日間・作業員10人で38万円、3LDK・2日間・作業員10人で27万8,000円、4LDK・7時間・作業員6人で23万円。別の不動産情報サイトは地域で分け、東京の3LDKが18万7,867円から、4LDKが23万878円から、北海道の同じ間取りが14万1,775円からと21万700円からとしている(2026年7月22日更新)。
表の外に出るもの
- 家電4品目。エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は家電リサイクル法の対象で、リサイクル料金と収集運搬料金が片付けの作業料金とは別に立つ
- 庭、物置、車庫、農機具。屋内の間取りでは数えられていない。実家では、ここが一番量の読めない場所になる
- ハウスクリーニング。売る、貸す、明け渡すのいずれかが決まっているなら要る
- 車両費と移動費。実家が遠いほど乗る。片道の距離と往復回数で変わる
- 室内からの搬出。名古屋市の案内にも、室内整理や室内からの搬出が伴う場合は別途料金がかかると書かれている。積み込み場所まで自分で出すのか、部屋から出してもらうのかで単価が変わる
片付け以外も含めた総額の組み立ては実家じまいの費用で項目別に分けている。
金額が動くのは、物の量より先に家の外側で決まる
見積もりの前に伝えておくと、当日に金額が動きにくくなる項目がある。
- 家の前の道幅と、トラックを何メートル離して停めることになるか。2トン車が入れない道だと、軽トラックでの往復回数が増える
- 駐車の可否。停める場所がなければ車両を余分に手配することになる
- 玄関までの段差、階段、門扉と通路の幅
- 集合住宅ならエレベーターの有無と、使用に管理会社の許可が要るか
- 屋内から屋外までの搬出経路に、大型の家具が通らない角があるか
- 作業できる曜日。廃棄物を運ぶ許可業者の稼働は、市区町村の処理施設が動く日に左右される
自治体の粗大ごみ収集の枠と処理施設への直接搬入は、業者の見積もりとは別のレーンとして併用できる。八女市のように直接搬入の単価が重さで決まる自治体なら、重い物ほど差が出る。
ワンストップ代行が束ねているのは、作業ではなく契約
確かめる点は1つで、1社が全部の許可を持っているわけではない。ワンストップは窓口を1つにして残りを手配する形を指している。
一括で頼む前に聞く3つ
- この見積もりのうち、自社で行う作業はどれか。手配する作業はどれか
- 廃棄物を運ぶ会社の社名と、その会社が作業をする市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているか
- 手配分の金額は、手配先の見積もりをそのまま出しているか。上乗せがあるなら何の名目か
売却や解体まで同じ窓口に預けるときは、片付けと売却を分けて相見積もりを取る。床面積の合計が80平方メートル以上の建築物の解体は建設リサイクル法の対象建設工事に当たり、工事着手の7日前までに発注者から都道府県知事へ届け出る(環境省の解説、2026年7月31日確認)。誰が書類を出すのかを先に確認しておく。全体の順番は実家じまいの進め方に置いてある。
親が生きている実家では、見積書の宛名を先に決める
実家にある物は親の所有物になる。子が不要だと判断しても、親の同意なしに処分してよい物ではない。
決めておく3つ
- 誰が契約者になるか。見積書と契約書の宛名のこと。契約者が高齢の親になると、当日のやりとりも親が受けることになる
- 誰が支払うか。片付け業者の検索サイトの説明では、親が存命で生前に整理する場合は本人が、亡くなった後の遺品整理は相続人が支払う形で案内されている(2026年2月9日更新、2026年7月31日確認)。実際に誰が出すかは家族で決める話で、親の口座から出す場合に贈与の扱いになるかどうかは税理士に確認する範囲になる
- 誰が立ち会うか。当日に、これは残す、これは出す、を決められる人がその場にいないと、作業が止まるか、判断のないまま進む
国民生活センターの相談では、料金に納得がいかないと伝えた消費者が、不用品をすべて下ろすと言われて断りづらい状況に置かれる形が繰り返し出ている。手持ちの金がないと伝えると近くの金融機関で現金を引き出すよう指示される事例もある(2022年11月2日公表)。親が一人で在宅する日に作業日を入れない、という組み方はここに効く。
見積書に入れる項目。引越しとして頼むと国の告示が決めている
家財を運ぶ作業が入るなら、標準引越運送約款の適用範囲に入る場合がある。この約款は、一般貨物自動車運送事業により行う引越運送と、これに附帯する荷造り、不用品の処理等のサービスに適用される(平成2年運輸省告示第577号、最終改正は令和7年国土交通省告示第193号。2026年7月31日確認)。
約款が決めている見積書の記載事項(第3条第2項)
- 申込者の氏名または名称、住所、電話番号
- 荷受人の氏名または名称、住所、電話番号
- 荷物の受取日時および引渡日
- 発送地および到達地の地名、地番、連絡先電話番号
- 運賃等の合計額、内訳、支払方法
- 解約手数料の額
- 事業者の名称、事業許可番号、住所、電話番号、見積り担当者の氏名、問い合わせ窓口電話番号
- 荷送人と荷受人と事業者が行う作業内容
- その他見積りに関し必要な事項
同じ約款は、見積料を請求しないこと(発送地または到達地での下見費用を除く)、内金や手付金を請求しないこと、受取日の2日前までに記載内容の変更の有無を確認することも定めている。解約手数料と延期手数料は2018年6月1日施行の改正後の水準で、前々日は見積運賃等の20パーセント以内、前日は30パーセント以内、当日は50パーセント以内。
不用品回収として頼む場合、この約款は適用されない。書式も条件も事業者ごとなので、上の9項目をこちらから書かせる形になる。特に6の解約手数料と8の作業内容は、紙に無いと当日に決まる。
遠方で立ち会えないときに決めておくこと
実家が遠く、当日に行けない場合は、判断の代わりを紙で用意する。
- 残す物の指定の仕方。部屋単位ではなく、物の種類と置き場所で書く。仏壇や神棚のように扱いが決まっている物は個別に書く
- 見つけたら手を止める物。通帳、権利証、実印、現金、保険証券、写真、契約書類。発見時の連絡方法と、まとめて置く場所を先に決める
- 写真の送り方。作業前、搬出後、清掃後の3回。部屋ごとに撮ってもらう
- 追加が出たときの上限。電話の口頭でどこまで承認するかを金額で決める。上限を超えたら作業を止めてもらう
- 鍵の受け渡しと返却。誰が預かり、いつ返すか
- 支払いのタイミング。作業終了直後の現金一括にしない。振込にして、確認の時間を挟む
近所への連絡も先に済ませておく。トラックの停車と作業音は半日から数日続く。隣家の駐車位置を塞ぐ形になっていないかは、見積もりのときに業者と一緒に決めておくと当日に揉めにくい。
業者に頼むと決めてから出てくる質問
当日に金額が上がったら、払うしかないのか
作業前なら、その場で断る。作業が始まった後に事前の説明にない請求を受けた場合は、後日納得した金額で支払う意思を示したうえで、その場での支払いを断る形が案内されている。見積もりのために呼んだ事業者とその場で契約した場合や、広告の表示額と実際の請求額が大きく異なる場合は、特定商取引法の訪問販売に当たり、書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができる可能性がある。相談先は消費者ホットラインの188番になる(国民生活センター、2022年11月2日公表、2026年7月31日確認)。
